苦いのテーマ
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苦いのテーマ

阿部あかね

苦いは毒

ネタバレ
2023年7月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 甘味 塩味 酸味 うま味 苦味。
甘味、塩味、うま味、はエネルギーとして本能的にお子様でも美味しく頂けます。

しかし苦味は基本的に毒のシグナルなので食べられません。不味いのです。
では何故、苦味は大人になると美味しくは食べられるのか?
それは「経験」です。
経験することで、苦味は安全→美味。と変化します。

つまり……………
浮気に対して能動的、または受動的に関わった読み手側の経験または価値観によって読後感が変化する作品だ。と、ビールが飲めない私は思う訳です。


同棲ラブラブな新と夏樹の前に現れた、身体も性格も男前の 涼真を巻き込こんだ痛悔ストーリーです。
幼馴染で長く付き合って、大学生と専門学校生で人間関係も変わる20歳前後のタイミングって心に隙が出来ますね。

先に涼真と出会ったのは新。
憎い演出だわ。
新は涼真と出会った事を無意識に夏樹伝えない。何故?
無意識に比べたのでしょうか。
でもね、本当〜に涼真は良い男なんですよ。

阿部あかね先生は良い男を描くのがとてもお上手ですね。

好きな人と付き合ってる最中、2次元3次元問わず心が少しでも移ることは有りませんか?
例え手の届かない「推し」が、もし届きそうなら…!?
推しが自分だけの隙を見せてくれたら?
まだ20歳、未来は無限大、そんな勢いがあったら?
日常が変わるかもしれない。
手を出してしまうかもしれない。

手を出したら…残るのは 罪悪感 です。
夏樹が痛々しいですね。
どちらが加害者だか分かりません。

じゃあ手を出すなよ!?
うん、本当その通り、間違いない。
だけど…人間だもの……………。
勿論、夏樹の行為は最低!新の気持ちを考えろ!裏切り者!
…けれども…何だか、ほんっの少し先っぽだけでも心移りを理解してしまうなんてブラックコーヒーが飲めない私は思う訳ですよ。

ラストは茨の道。
1年後5年後10年後、二人を繋ぎ止めているものは愛か?情か?執着か?

今リアルタイムで「浮気」が起こっている方は要注意かもしれません。
浮気は心が抉れますからね。

ちなみに酸味も腐敗のシグナルなので経験ですよ。
御腐人様BL食わず嫌い良くない!
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