アオイトリ【イラスト入り】
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アオイトリ【イラスト入り】

木原音瀬/峰島なわこ

異色の運命の番物語、ほろ苦く甘くなる

ネタバレ
2023年7月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ もどかしい!
運命の番といえば出逢った瞬間お互い無視出来ない惹かれ合ってしまうストーリーが殆どですが、これは全く異色です。だからこそ新鮮で一気に読ませます。読み終わって、満足なのですが途中苦しかった。といっても木原先生作品の中ではほろ苦い程度です。

さすが木原先生作品、オメガバースものでも痛みが伴います。Ωでも35歳まで純潔であればβになる世界。理解ある優しい交際相手の女性との結婚を夢見る河内。あと4日で念願叶ってβになるという時発情が起き…。あと4日。本当に悔しいですね。

犬飼と紆余曲折で家族になったものの受け入れられない事が多すぎて、このタイトルの意味に気付いたのは本当に終盤になってからでした。

犬飼目線で見てしまっていたからか、河内に対して何で怒ってるの?はっきりしないなぁ、きちんと言ってくれれば良いのにと思っていたのですが、皆さんのレビューで河内の心情に思いを寄せると、確かに簡単に性癖と違う相手を受け入れる事は難しい。
犬飼は出逢った瞬間から河内に惹かれていき、告白してもあっさり断られるという何とも今までのオメガバースでは有り得ない展開に。
運命の番といっても心で納得して受け入れてこそ幸せになるというストーリーなので、河内の心が悲しみから立ち直り犬飼の献身的な優しさと愛情で時間をかけて運命を受け入れるまでほろ苦い。
書き下ろしがあってこそ大満足なラストです。

素直になりにくい状況(恋愛対象の相違、告白を断る、発情期の事故等)だったので、遠慮しなければおかしい関係性だったかもしれませんが、きちんと対等に気持ちを伝えていたら誤解を生じる事もなくここまで苦しむ事もなかったでしょう。
どこまでさらけ出せばいいのか難しいけれど、遠慮しすぎ、伝え無さすぎて相手を不安にさせても上手くいかないんだな。子供の存在がとても大きいです。この先もこの家族がずっと幸せであって欲しい。
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