このレビューはネタバレを含みます▼
春夏秋冬に関わる四獣や二十四節気七十二候に関する天の巡りが現実世界に影響し、瑞獣や流れを作る渡り鳥や魚が人化している世界。時代的には近代に近い日本。平和と安定の象徴である麒麟坊っちゃんに仕える執事の燕乙鳥。使命と家の事情と立場が障害となり、麒麟の思いは空回りし、燕は気づかないようにしていたが。乙鳥を留めるために、幸福の王子宜しく、自身の身を削って他者に与え続ける坊っちゃん。勝手な人間から麒麟の鱗を回収している最中、とある軍人を怒らせ、麒麟の意味を理解しない人間の思惑で戦地に行かされ、角や蹄、鱗、錦糸の髪など根こそぎ剥がされた麒麟。乙鳥を解放し渡りをさせようとした坊っちゃんだが、乙鳥は気持ちに気づき、南に渡らず坊っちゃんを待ち、寒さにやられ瀕死に。天の巡りが変わり、天候不順による景気悪化が続き、四獣が異変に気づく(もっと早く気づけよ〜)。互いが大事、互いを思い生き延びた2人は、多くの人を助け、旅に出る。
切なくて悲しくて美しいお話。最後がハピエンで胸をなでおろす。ファンタジーなんだけど、独特の世界観で、天と四季に感謝していた旧き良き時代と、人間のエゴに壊される世界とがリアルに感じる。2人の幸せは、世界の幸せ。素敵なお話でした。