このレビューはネタバレを含みます▼
その者の印象が白だったものが黒へ、また白へと忙しなく変化する様は、まるでオセロの盤上を見ているようでした。その逆もまた然りで…そういった人物が複数人いて、敵味方が入り乱れる実戦と頭脳戦に様々な思惑と情が絡んだ超大作でした。
ローレントの何十手も先を見越す頭脳は感嘆しかなく、その本質を知るまでは見た目の冷ややかさと非情さに惑わされて信用に足る人物か分かりませんでした。反対にデイメンは直情的で男気溢れる見た目と闘いぶりで、下に付く者への慈悲もあり上に立つ者としての徳と品格を持ち合わせていて好感が持てました。内も外も正反対に思える二人が互いに理解を深めていく様子は重厚さがありました。
全体を読んで、2巻の終盤から3巻への辺りが山場だと思います。そこからは怒涛の流れで見せ場がたっぷりあるので、出来れば最後まで途切れず読めるスケジュールを組んだ方がいいと思います。寝る間も惜しんで読みたくなる展開でした。
3巻の残りページ1割を切っても明るい結末を感じさせない絶対絶命のピンチの連続で、エンドを知らずに読んでいたので少しバドエンの恐怖がありました。ハピエンへの希望を持ちながらハラハラ読み進めると、今度は怒涛の援護射撃の連続でアッという間にオセロの盤上が黒から白へ変わっていく…圧巻の流れが待っていました。
最後は何という巡り合わせかと思わせるシチュエーションで、業の深さとかあらゆる意味で縁のある、それは運命と言える繋がりのある二人だったのだと思えるものでした。番外編も出ていて、金額的に1巻分と同じくらいのボリュームがありそうなので、そちらも読むのが楽しみです。