秘密 -トップ・シークレット-
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秘密 -トップ・シークレット-

清水玲子

ただグロい、よりずっと怖い。

2023年8月2日
「輝夜姫」で清水玲子先生の名前は知っており、「SFサスペンス刑事モノか…少女マンガの作家さんがそんなハードボイルド要素多めってどう?」と思って読み始めましたが、違う。そうじゃなかった。心理描写がモノをいうサスペンスは少女マンガだからこそなのか!と思い知らされた感じです。なんとなく、昨今のマンガは画力だったりキレイさだったり、”人物の動き“にフォーカスしてることが多いなと思うのですが、昔ながらの少女マンガは、一見ムダゴマに見えても、そこのコマも含めて感情や情景を想起させてくれるようにこういうコマ割りで表現してるんだなあと思うのです。だからでしょうか、もっとグロい表現を出しているマンガはいくらでもありますが、「人が倒れている画」だけでこんなにハラハラしたりざわざわ胸騒ぎがしたり、怖くて背筋が薄ら寒くなってくるマンガもなかなかありません。わかりやすく「こいつが諸悪の根源だ」という敵もいない。なんだか、より現実っぽくて読み終わっても考えてしまう。名作だと思います。
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