獣の王と狼面の番
」のレビュー

獣の王と狼面の番

奥田枠

「嘘をついて神様から嫌われても」

ネタバレ
2023年8月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 上巻の裏表紙のキャッチコピーがシーアの健気な恋心をよく表していて、読めば読むほど、そのコピーだけでで泣けるようになります。

獣の王ゼン(猛禽系)とオオカミに育てられた人間シーアのハーレクインのようなゴージャス輿入れBL。
お互い環境には恵まれているけれど世界にひとつの異質な存在として孤独をかかえ、寄り添うように愛しあう儚さが美しい。
シーアの見た目も思考もジェンダーレスなかんじであんまり男らしくないのですが、母性にも似た慈愛や生娘のような初々しさがぐっとくるし、それでいて少年らしい透明感や躍動感もあり、結果めちゃかわいい。
性別オスという最大の障壁を超える漆黒ベッドシーンの演出は官能的で良かったです。そしてすんごい狭い性癖なんですが、受の尻を「下」とか「うしろ」じゃなく「お尻」って言っておねだりするのが大好きなので、ヨシ!って心の中でガッツポーズでした。頑張って雌としての喜びを見出そうとするシーア健気でしょ。泣かせる。

あとは電子書籍で良かったと思う、美しいカラーページも見応えあり。
下巻の後半は側近の2人のお話で、こっちはドがつくケモナーの攻と耽美な受。私は人外大好きなんですがダメな人はお気をつけください。攻めの顔面がマズルばっちしのケモノですし、指も機能的にはさておき肉球ぷにぷにのケモノです。私はモフモフな攻めも口が弱い受も大好きなのでありがたかったです。
あとあと、シーアの弟(オオカミ)のウルがハチャメチャに可愛くて、ラストはウルに泣きました!太い足の子犬の可愛さを描ける作家さん大天才!!
いいねしたユーザ8人
レビューをシェアしよう!