このレビューはネタバレを含みます▼
これはまた賛否両論あるレビューですが、私は好きです。写真がテーマのストーリー。15歳の時に1枚の写真を切っ掛けとして出会った二人が親友になり、学生時代を無二の親友として過ごし、大学時代には4年間の同居を経て就職を機にそれぞれの道に進むも、離れてから気付くお互いの大切さを知る再会ラブです。
確かにいいだけ意地を張ってモダモダして、25歳の社会人同士でキス止まりの展開には物足りなさを感じる歴戦のBL猛者たちがいるのはわかります。ただ個人的には、作中で語られていた「写真を見れば、撮った人が被写体をどう思っているのかがわかる」に尽きると思っていて、恋愛物語というよりは、恋愛を主軸に主人公たちの1ヶ月の攻防を切り取ったヒューマンドラマであり、感情的ではありつつも多くは語らない。まるで本作そのものが1枚の写真のようだと感じました。
読んでる途中ではGWに二人で出かけた海のシーンを表紙にしたのかなと思いましたが、読後にもう一度見ると、同棲後の写真に見えます。湊への愛情を隠さないふっきれた表情の航、航への愛情がとどまることを知らず切ないまでの感情を秘めた湊という構図に思えます(これも見る人によって感想は変わると思いますが)
過去の恋愛から、恋愛関係になれば友情がなくなってしまうと思い込み、頑なに湊との関係性を変えたがらない航が、現像した写真から湊の気持ちを改めて受け取るところ。そして湊が、おばあちゃんの言葉を引用して「航のことをわかりたいって一番思ってる人になりたい」と二人のこれからのありようを言葉を尽くして真摯に語らうところ。とても好きです。
そして二人を取り巻く家族のなんと温かいこと。湊のおじいちゃんおばあちゃん、航のパパとママ大好き!!!航と湊も、こんな風に暮らしを共にして、友情も愛情も信頼も積み上げていって、しわしわのおじいちゃんになってもお互いの笑顔を撮りあうような仲のいい二人であってほしいな。