秘密の森の魔術師はのどかを願う 【電子限定特典付き】
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秘密の森の魔術師はのどかを願う 【電子限定特典付き】

蔓沢つた子

ルソーの悪口を書きます笑

ネタバレ
2023年8月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ ルソーに同情的な評をよく見たので試し読み部分がチャラになるなんてどんだけ不憫な扱いなんだと興味を持ち購入したが一切同情できる部分がなかった笑 話を進めるためにルソーの落ち度にされている部分が多くてかわいそうだとは思うけど、そういう視点は横に置いてレビューします。

◇彼から感じるのは執着・支配欲・独占欲ばかりでシャガールへの慈しみがない。愛情があっても伝わらなければ相手にとっては無いのと同じだし、適切に表現されない場合は害にさえなる。ストーカーもDVも「歪んだ愛」と表現されたりするけど、愛は愛でもそれは「自己愛」という。

◇ルソーがやってるのは「定期的に治療しないと死ぬ病気の人を/悪化して倒れるまで放置し/わざわざ服用のしんどい薬や苦痛を伴う施術を選び/自分しか頼れないように周りから隔絶させ/他者を頼ったら酷い言葉で罵る」みたいなこと。

シャガールがくっつきたがってた頃は受け入れなかったのにフィオが現れた途端に古参面して暴言吐いてくるような人を魅力的とは思えない。軽口として描かれている部分も「素直になれない」なんてかわいいものではなく普通に侮辱の域。対等な男同士というより母親と恋人と娼婦の役割をシャガールに押し付けたような不健全な関係性で気味が悪く、シャガールの包容力とペシミスト的な部分に甘えてタカを括ってる感じがかなり悪印象だった。

最後の方で若干マイルドにされてたけど「倒れるまで放置する」が永遠に意味不明なので今さら何アピ?元彼面だっる、としか思えない。

◇一方のフィオ。未熟でこそあるもののシャガールを大切にしようとしているし、独占欲や怒りをコントロールしきれなかったことも諌められれば聞き入れ、至らなさを改めようとする。積極的に他者を貶すようなこともしない。一生シャガールの尻に敷かれて幸せに暮らしてほしい。

◇しかしシャガールのダメンズ製造機っぷりもすごい。あげまんでありダメンズメーカー。自分の男を社会的にアップグレードさせ続ける反面、家庭内では幼さや依存を許しダメンズ化を助長している。母性的な「ダメなところもかわいい」の範囲があまりに広すぎてどんどんダメにさせられる男たち。ルソーがあんな感じなのはシャガールのせいでもあるはず笑

◇最終的に一番好きになったのはプティ。特に手のひらサイズ時。かわいー!
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