薔薇王の葬列
」のレビュー

薔薇王の葬列

菅野文

普通の歴史ものかと思いきや・・・

2023年9月1日
シェイクスピアの二つの戯曲をもとにした作品。最初は普通の歴史ものかと思ったが、戯曲と史実をベースにした全くオリジナルのストーリーで、次々と思いがけない展開にすぐにはまってしまった。読みながら、こういった解釈もあり得ると思った。
教会の力が世俗の権威よりも強かった中世社会の価値感を背景にしながらも、ジェンダー、毒親、血縁に拘らない新しい家族、相続・権力をめぐる兄弟姉妹の争い、依存性やハニートラップ等現代にも通じる問題が扱われていて、古くささを感じない。
時代考証もしっかりしていて、衣服や装飾品、髪型、インテリア、食事風景(食事は基本手づかみ、フォークは存在しない)等の文化的な要素が忠実に描かれていて、絵を眺めるだけでも勉強になった。
原作の戯曲も読んでみようと思った。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!