蟷螂の檻
」のレビュー

蟷螂の檻

彩景でりこ

蘭蔵

2023年9月8日
闇系として楽しく読んでいたが、ふたりがあまりにも勝手過ぎた。親や家庭に恵まれなかったら郁郎や典彦のようになるんだろうか、などとまじめに考えてしまったが、理解できる対象ではないと途中から気付いた。心優しき郁郎は自己愛サイコパスの典彦の手を離せない。真っ当な幸せでは満たされない。檻の中を心地よく思う郁郎は哀れだが美しかった。これからは犯罪者同士周りに迷惑をかけず生きればいいと思う。タイトルを回収したラストの郁郎の不敵な笑みにゾクっとした。最後まで読めたのは蘭蔵の行方を見届けたかったから。無垢な魂は闇に染まらず、芯がぶれない。いくおと呼ぶ弟思いの天使のような蘭蔵が好きだった。蘭蔵の未来が明るいものでよかった。4.5
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