放課後のエチュード
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放課後のエチュード

昼寝シアン

人の感性に届く、人を魅了する才能の開花

ネタバレ
2023年9月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 芸高は入るのも大変だが続けるのも大変なところだろう。高校に来なかった同級生の進路が芸高であることを先生が興奮の面持ちでクラスの皆に告げた時を思い出す。
そんな才能のひしめき合いの環境でも、明らかに群を抜いて上手い踊り手に、その圧倒的存在に、魅了された主人公。恵まれた容姿はバレエをやる者には垂涎と思うのに、活かしきってない。うろうろと地味に過ごしてきた。
この漫画は余りに濃いBLの雰囲気、私はレビューは本来したがらない種類。躊躇した。が、「会社帰りのパ・ド・ドゥ」という明るい男女のバレエ漫画と両方読んでみて、一発レビューを入れとこうかと思いついた。やはりシーモア(島)バレエ漫画紹介の回答から辿り着いてる。

ずっと彼らが続けてきたバレエ、これからの飛躍は望めるのか、確固としたプロ舞踊家になれるのか、正念場に立っているか、今しも岐路に立ち始めている、若者の愛を絡めたバレエ漫画である。

誰に観てもらいたいのか、誰の為に踊っているのか、どうしたら魅入ってもらえるのか、どうしたらもっと自分と踊りたいと相手に思わせるのか。
踊りは、自分の満足もあるかもしれないが、見る者(観客)やパートナーあってのパフォーマンス。
その舞台芸術の、舞台上の踊り手に秘めた、または、迸る熱情を、感じ取ることが出来る。

才能有りながら肉体的ハンデのある彼と、肉体に恵まれながら開花出来ていない主人公が、どんな未来を歩もうとするのか。

見る方はなんとなくオーラの有る無しがわかるものである。日舞、洋舞、宝塚含むミュージカルを多くはないけれどそこそこには観たが、プロは、素人の私にもハイレベルなのは直ぐに判る。
一方で、お稽古事のおさらい会として幾つか観る機会があると、もの凄く上下に差があるものなんだなと感じることが出来る。それは、技術がよくわからない私のような素人目にも、この子は凄い、と、感じるものなのだ。
彼らの分岐点は、これからも様々な形ではだかってくるだろう。
次巻で一区切りのような作者の説明を読んだから、今月新刊が楽しみだ。

しかし、性的描写が多いのは、正直、レビューをしづらくて参っている。
芸術の世界あるある、と、いっちゃ語弊がある、BL漫画特有のファンタジー?特殊設定も盛り込んでの妄想なのだろうと、割り切るしかない。
追記)3巻はそのシーンが減っている!
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