にいちゃん
」のレビュー

にいちゃん

はらだ

〇〇⇒刷り込み⇒性癖確立のエンドループ

ネタバレ
2023年9月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ どちらが悪いとか一概には言えなくて、どちらも被害者で、起こってしまったこともそれで完成してしまった自分も変えることなんてできなくて、そんな中で足掻いて苦しみながら、そんな自分でもなんとか「幸せになる方法」を探し続けてるような、そんな話なのかなと思いきや。
どうしても不憫・可哀想、って感覚は抜けないです。悲劇だと思いますし憤りすら感じます。〇〇は絶対許すまじ。
ですが、被害に遭ってそれが原因で性癖が確立したとしたって、そんなことはどうでもよくて、大事なのは幸せを求めて生き続けていくことだということは揺るがないので、間違ってないよ、大丈夫。って、言いたいところなんですが。

そもそも『〇〇は絶対許すまじ』は、絶対変わらないのに、景さんにこのままなにもなかったかのように幸せを与えていいのか?
いや、きちんと実刑を食らうべきなんですよ。本来は。
でも、そんなこと、当のふたりがとっくに知ってることなんですよね。だから罪悪感でがんじがらめになるんですよね、景さんもゆいくんも。ゆいくんすら結局薬飲むわけで。
ここにきて『背徳行為』がもたらす死にそうな精神的負担を心の底から感じて、とりあえずしんどくなりました。その“愛”は、絶対間違ってるのに、何故こんなに惹き付けられて美しさすら感じてしまうんでしょうね。(※それがフィクション、文学の良いところです。)
まいちゃんが羨ましいです。あの子少し達観視しすぎてて、共感性の少なさが逆に救いになってるように見えるのがまた闇深いんですが、情緒乱されること少なそうで、とりあえず羨ましいです。

背徳的な愛情に苦しみ続ける二人にただならぬ萌えを感じる変態さんがいたら、この本は超オススメです。
だけど、そうじゃなくても、背徳行為、とか、禁断の愛、とか、ジャンルとしてはよく見かけるこれらの事象を、この作品ほど重く辛くしんどく描かれてる作品をあまり知らないので、文学作品として読んでみて、一度その闇深さを感じてみても良いのではないでしょうか。
私的にはカラーレシピよりかはだいぶわかりやすかったです。
いいねしたユーザ6人
レビューをシェアしよう!