サトリのサトル
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サトリのサトル

小松万記

これは、良い漫画だと思う

2023年10月1日
妖怪と人間のハーフであるサトルは、サトリという能力を持つ半妖で、母親と「とりなし屋」を営んでいる。
妖怪でもなく人間でもない彼は、自分を中途半端な存在だと感じ、どちら側にも馴染めない。
周囲に壁をつくり、自ら一人ぼっちを選んで生きている。
そんなサトルが、転校生青天目に幼馴染の妖怪探しを依頼された事を機に、様々な妖怪や人間と対峙し、その過程で自身の内面や過去と向き合っていく。

そんな感じのお話です。
妖怪が好きなので、先日のセールで購入しました。
ちょっとした好奇心から読み始めたのですが、こんなに良作だったとはと驚きました。

伏線回収が鮮やかで、よく練られた上で描かれているなぁと思いました。
どのキャラクターもお話をグイグイ引っ張る力に溢れていて、脇役ですらしっかり存在していました。
サトルの物語ではあるけれど、他の人物の生き様も負けないくらい織り込まれていて、共感や同調する事が多い。
毎回読み終えると、感動と共に少し放心します。

もっと深掘りしたい点もありながら、3巻という読み返し易い長さで見事にまとまっているのも捨て難いです。

面白い漫画を読んだ時の充足感に加えて、そっと背中を押されて一歩前向きに踏み出す気持ちになれる。優しいながらも力強い作品でした。
常に笑いが隣にあり、明るさを失わないのもとても良かった。
なぜ「サトリのサトル」なのか。
是非、体感してみて欲しいです。
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