いやはや熱海くん
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いやはや熱海くん

田沼朝

聞き流すラジオのような

2023年10月14日
かるい読み心地がたまらない。熱海くんは、その美貌(というには画力が抑えめなので、忘れがちになるが、とんでもない美貌の持ち主なのだ)から、関わってくる人間がとにかく多い。とはいえ2巻となると、名前のついたクラスメイト、最近仲良くなった友人宅の家族など、新キャラではなく馴染みはじめたメンツがワイワイと熱海くんを取り囲み、勝手がってに喋っている。オチもない日常話が始まっては次の話題へとせわしなくて、まるで口の中でふわっと消えるおせんべいみたいな漫画です。2巻が発売されて、さて1巻はどういった話だったっけと思いながら2巻を試し読みしたら、テンポのいい会話のやりとりの続きが気になって、ついつい買い足してしまった。読み進めて、そういや熱海くんの恋愛対象は男性だったっけな、と思い出すくらい、ほのかな恋の話もある。2巻まで読み進めても、熱海くんの感性がよく分からない。快と不快を分けられず、感情の分類ができずに沈黙してしまうさまは生まれたばかりの赤ん坊のよう。なんとなく、いとおしくて、できれば嫌な目にあわずに健やかに過ごしてほしいな、と祈ってしまっているから、だいぶ熱海くんに傾倒しているようです。これが推しってやつか。
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