このレビューはネタバレを含みます▼
秀良子先生の12年前の作品。際どいシーンは殆どなく、人の心の迷いや虚しさが描かれています。象徴的なシーンが幾つかあり、心のどこかに引っかかって、取れないトゲや骨のように、向き合わない限りずっとついてまわるようなもの。それは2つの話、どちらにもありました。
表題作は続編があるので、そちらを読んでから書こう。
「世界のおわりのなつもよう」は、世界が終わるとなったとき、自分はどうしたいかを考えたら空虚な自分に気づき、おそらく初恋の高校生時代の男の子に会いにいく話。「僕らのミクロな終末」にとっかかりが似ているものですが、こちらはファンタジーではなく、リアルに心に引っかかり取り残された虚しさが描かれていて。最後にほんの少し、前に進める予感を残して終わります。切なくてリアル。