鬼灯の冷徹
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鬼灯の冷徹

江口夏実

細かい背景知識へのこだわりがすごい

2014年1月6日
私は紙のコミックス派なのですが書かせていただきます。この作品は、細部へのこだわりが素晴らしいです。作者様自身もはしがきで妖怪の類が好きと書かれているだけあって(といっても妖怪の出演は多くはないですが)、地獄の仕組み(八大地獄、八寒地獄、死後裁判の十王etc)はもちろんのこと、キャラクターひとつ取っても、神話の神々や昔話でお馴染みの面々(中には性格が面白く歪んでいたりする者も)、更には日本を飛び出しEU地獄にまで舞台を広げ、向こうの地獄キャラが登場したりもします。また補足程度のサラリとした感じで話の展開に挟まれる背景知識もしっかりとしており、私の好きな点です。例を挙げますと、鬼灯の仕える閻魔大王。彼は十王のうちの一人なのですが、その十王は人々の死後裁判を順番にしていき、七番目の王(太山王)までで逝き先(天国か地獄か、地獄ならば何処なのか)を決めます。ここが現世でいう四十九日だそうです。では八番目以降の王はなんなのか?閻魔大王は何番目の王なのか?長くなりますので割愛しますが、このような踏み込んだ知識が要所要所に盛り込んであり、私としては読みごたえなるものを感じます。
多少ベタではありますがそこがまた良いギャグテイストのストーリーに、絵柄に癖はあるものの個性ある外見、ユニークな性格のキャラクター達。もちろんオリジナルキャラクターも出てきます。話は基本一話完結型なので、電子書籍でチョイ読みするにはうってつけの作品だと思います。毎月余ったポイントで一話、また一話と読んでいるうちに、あなたも地獄から抜け出せなくなってしまうのでは…?
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