恋した人は、妹の代わりに死んでくれと言った。
」のレビュー

恋した人は、妹の代わりに死んでくれと言った。

永野水貴/とよた瑣織

分類上はラノベですが(5巻までの感想)

ネタバレ
2023年12月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 軽いどころか、沸き上がる感情の消化にものすごく力を使う、ヘビー級でハイカロリーなロマンスファンタジー小説です。
ヒロインのウィステリアが可哀想すぎて、胸がいっぱいになって号泣するので、明日が休みじゃない日には深追いして読めません。

◆ロイドがウィスに出会い、ウィスに堕ちていく1〜2巻。
未明の地の異変と凶暴化した魔物たち、因縁のディグラとの戦いを通じて絆が深まる3〜4巻
2人が未明の地から帰還し、ウィスが不在の23年間と向き合う5巻
どれも退屈とは無縁で夢中で読みました。
そして続きが待ち遠しい!
23年ですっかり擦れたのに初心で世話焼きなウィスはとにかく可愛い。
世の中に倦み退屈していても、悪戯心があったり若者らしい青臭さが見えるロイドもまた可愛い。
この2人の世話焼き、焼かれ具合が段々逆転してるようなのも楽しみです。

◆ラノベにありがちな悪役をやっつけてスッキリとはいかなそうな作品です。
4巻ラストでついに元の世界に戻れましたが、過去の件を掘り返してもウィスを含めた関係者全員が傷つくだけな気がしてしんどい。ウィス自身も望んで無さそうだし。
でもロイドはそこをそのままに出来ないたちな気がします。
過去のことをハッキリさせたら、まず当代ルイニング夫妻はお互いの愛で持ち堪えたとしても、愛する義姉を死地に追いやった犯人で、自分の命を救ってくれたヒーローという矛盾は大きな葛藤になりそうです。
ロイドも、自分の出生にウィスの犠牲があったなんて残酷な話と、父親の罪を知ることになる。
惚れた女が犠牲になっていなければ自分は生まれてなかったんだって、どんだけ重い十字架だよ……。
ウィス自身も過去の傷を直視して辛くないわけが無い。辛い思いをしたうえ、心を開ける相手はもう誰も残ってないことを再確認する作業なんて苦行すぎる。
ロイドが十字架に負けずに寄り添ってくれるといいんだけど。

◆ロイドが王女にした誓いをどうするのかも気になるところ。
王女自身は婚約に乗り気だし、これでロイドが愛する人を見つけたから求婚しませんなんて言ったらどうなるのか。
ロイドは王太子から敵視されてるし、このまま王家自体と敵対する流れになるんだろうか?
そうすると味方になれそうな勢力はまずルイニングしか思いつかないが……(文字数が足らない)
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