ダンジョン飯
」のレビュー

ダンジョン飯

九井諒子

「食」をコミカルにそして大真面目に

2023年12月19日
初連載作、14巻で見事な完結、感無量です。
魔物を食べるダンジョンファンタジー、と言うとゲテモノ感が漂いますが、ものすごく本格派のファンタジー。著者の想像力はただ空に架かるふわふわしたものではなく、ひとつの閃きの細い糸を辿って根にまで行き着く素晴らしい力で、主人公であるライオスの観察眼にそのまま反映されています。
魔物の生態、ダンジョンの仕組み、本当によく考えられています。コンピューターRPGをプレイしていた時の素朴な疑問が、作者による解釈で明らかに!っていう部分があって、とても楽しかったです。マンドラゴラとか、動く鎧とか、勝手に直ってる壁とかの解釈がとても好きです。
序盤はかなりコミカルで軽い感じだったので、この作品で読者の反応とかをみてから別作品で本格的に行くのかな……と思っていたら、4巻あたりから本領発揮でシリアス分量が増えてそのまま走り切りましたね。
キャラクターもそれぞれに良かったですが、何と言ってもマルシルが可愛い!ちょっと間が抜けてて一所懸命、乙女な趣味、抱えた寂しさ……最高。
魔物食からスタートして、人の欲望、生と死の深さまで進んで行くこの物語というダンジョン、ぜひ多くの人に訪れていただきたい。
ああダンジョン飯。
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