このレビューはネタバレを含みます▼
冤罪で人生を破綻させられた人が真実を知った時、こんなに穏やかな顔をして当事者を迎え入れられるのだろうか…とも思いながら、秋鷹(受)だからできた事なんだろうな…と納得してしまう。そういう人なんだよ秋鷹は。15年の刑期を終えた後も社会に馴染めず途方に暮れていた時、神父の木場(攻)に心を救われたのに…。木場怖っ!ってなったけど、そうなった元凶がちゃんとあって、どこ向いても苦しくなりました。幼児にしたことは絶対許されることではないし、それを誰かになすりつけた事も間違っている。その胸糞悪さは最後まで拭えませんが、木場のずっと子供の頃から止まっている部分を秋鷹がやっと進めてくれたと思うとちょっと救われた気がします。本当の自分を見てくれる人がいてくれて良かったねと。親とかもっとザマァ展開期待しちゃうけど、それよりなにより社会から向けられてた辛い日々を払拭するくらい穏やかな時間が秋鷹にあれ…と願う。木場は、どうしても被害者のことがチラついて心から祝福することは出来ないんだけど、生涯その罪を背負いながら秋鷹と一緒にいれることが木場にとっては幸せなのかも知れない…と思ってしまいました。本作の他に上下巻共に短編アリ。上巻は、社会的にはちゃんとした保健医だけど子供しか愛せない攻め(子供には絶対手は出さない)と、そんな攻めに好意を抱くゲイの先生がいい様に使われるお話。下巻は、三十路童貞で思い悩むイケメン王子が冴えないバイトくんに処女を捧げちゃうお話。ちょっと癖のあるストーリーばかりなので読み手は選びそうですが、個人的には追っていきたい作者様です。