よだかの恋人【電子限定描き下ろし漫画付き】【コミックス版】
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よだかの恋人【電子限定描き下ろし漫画付き】【コミックス版】

央川みはら/阿賀直己

夜空に輝く憧れの星が持つ自分人同じ寂しさ

ネタバレ
2024年1月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 三郷匡平がタイピングの音で目覚めると自分は全裸で、憧れの小説家•寒原夜鷹もまた裸で原稿を打ち出していました。匡平の持参した小説を「つまらなかった」「取るに足りなかった」と表現した夜鷹に匡平はショックを受け飛び出しますが、夜鷹に呼び止められ、性行為に協力して欲しいと言われます。高校生の時から夜鷹のファンだった匡平は、大学も夜鷹の通うところに入りたくて何浪もし、そのOB会で初めて夜鷹に会えた日のことでした。現在は姉の務める出版社で働きながら自分も小説を書いている匡平は、姉の力になりたくて再び夜鷹の家へ執筆依頼に訪れます。そこで夜鷹から匡平の小説への評価が「つまらない」でも「取るに足りない」でもなくて、誰に向けて何を伝えたいのかがわからなかったのだと教えられます。それを聞いた匡平は、原稿と引き換えに性行為込みの住み込みお世話係を引き受けるのでした。美貌の夜鷹の不思議ちゃんが半端なく、幼少時から家族の縁が薄く沢山の本に囲まれて育ったことがその根っこにあります。生まれつきの持病のせいで自分と世界の間に齟齬を感じていた匡平もまた独特の天然キャラで、同じ孤独さを持つ二人は自然と惹かれあってゆきます。モノローグが多過ぎて却って匡平の心情がわかりにくくなっていますが、匡平の姉の素子やライバル出版社の河合さん、売れっ子作家の犬養ら個性豊かな脇キャラが良きでした。
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