にいちゃん
」のレビュー

にいちゃん

はらだ

被害者が負ったキズと愛とは何かを問う作品

ネタバレ
2024年2月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 232P、1巻完結、表題作のみ。

小児性愛がテーマですので苦手な方はお止めになった方が良いかもです。ただ私は苦手なので避けてきたテーマですがこの作品に関しては問題なく読めました。というか読んで良かったです。子供に対しての性的な行為が描かれていますが、この作品の凄さに圧倒されてしまい「この部分を描かずしてこの作品は成立しない」と感じたので大丈夫でした。が、あくまで私はです。感じ方はひとそれぞれですので😩 作中にふたりの子供が登場します。「景」と「ゆい」。小児性愛の被害者であるふたりが癒されないキズを抱えたまま成長し、景はアラサーにゆいは高校生になってもまだそれぞれの欠けたものを探し続ける話。被害者(更に加えて小児)であるふたりに無理解どころか追い討ちをかけ続ける親や周囲の大人達の対応と反応…子供に向き合ってないくせに正しいと自分を信じて疑わないのは本当に救いがない。特に景の親は最後まで酷いです。
ふたりの他にゆいの同級生のまいこが登場します。彼女もまた親のせいで歪んだ子供時代を過ごしていて普通の女子高生とは感性が違うのですが、人生を達観してるまいこが時に頼もしく、もだもだしているふたり良くも悪くも動かしていきます。
ふたりが得たものは愛か執着か依存か踏み台か……。
本編最後のゆいの表情が「あ、これヤバイかも」と思わせる感じですし、描き下ろしも……😌。
この先をどうみるかは若干読者に委ねられてる感じもあります。
ハピエン希望なので夢の中に逃げ込みたいふたりを現実主義のまいこが引き戻してくれると良いな。まだ若いゆいに成長してもらって景を支えてふたりで幸せになってくれないかな~😃
最後に描かれてる「どろどろ♦相関図」は的確で分かりやすいです😊。
景とゆいを取り巻く救いようのない世界が読んでて終始辛いのですが、新しい視点を得ることが出来た気がして読んで良かったと思います。
ゆいが言ってた「檸檬を本屋に…」は梶井基次郎の作品ですが、良い得てるかも。実家に檸檬を置いてきたら少しはスッキリするかもね😄
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