ブルー・ヘッドにくちづけ【コミックス版】
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ブルー・ヘッドにくちづけ【コミックス版】

おまる

おまる先生は天才

ネタバレ
2024年2月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ BLジャンルの女体化はBLだけど NLも楽しめる、その二度美味しい仕様によって一定の支持を得てると思う。
TLの男体化は、これはかなり興味深い。昨今、女性攻めとも言うべきTLをよく見かけるようになった。それの延長線上のような感じがある。何故昨今女性攻めをよく見かけるようになったのか、ということだけど、使い古されたステレオタイプとしての「男らしさ」「女らしさ」へのアンチテーゼ、ひいては性差による役割からの脱却、それに対する渇望かなと個人的には思ったりする。
性別を行ったり来たりする主人公だけれど、それに対する戸惑いは驚くほどない。あっさりしている。というのも、主人公は女である自分の自己分析を済ませているほどに、もし男であったら、という念慮を持ち合わせていたからだ。この主人公の考えに自分はとても共感する。自分の性別に違和感があるわけではないけれど、もしもう一つの性別であったならば、あらゆる問題は存在し得なかったのにな、と。(おそらく無いものねだりなのだろうし、与えられたカードで取り仕切ることに価値を置くことにして飲み込んだ。)
少しでも、自分のように考えだことのある人は、主人公に惹かれると思う。夢のような話を主人公が体現してるのだから。

しかし、その夢のような体現は、漫画において病気として取り扱われていることから分かるように、非常に人の心の弱いところに差し迫っている。なので、作中に漂う鬱屈とした切なさに息が詰まりそう。主役2人とも諦念を纏っていて、切なくなる。どうか2人が諦めと別れ、明るいところへ行き着きますように。

ほんっとうに、おまる先生は天才だと思う。おまる先生にTLを描くように話を持って行った方も天才だと思う。このお話を取り巻く全てに感嘆する。
NLもBLも(暫定GLも)楽しめる設定。おまる先生のとても官能的な女体。女性の裸体が漫画チックでなくて、肉感的美しさ。
性差に対する、個人レベルでの葛藤。
1巻はとても丁寧な運びだったので、まだまだこれから色々ありそう。
と色々語りたくなる要素満載かつ、当然えっちい。全てを盛り込んでなお話が面白いという。天才過ぎる。

ブルーヘッドは性転換するお魚さん。男だとか女だとか、ジェンダーなんて無いに違いない。生命体最上命題の種族繁栄だけが性別を必要とする在り方に羨ましさを感じちゃう。
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