今宵おまえと
」のレビュー

今宵おまえと

木下けい子

タイトルが秀逸

ネタバレ
2024年4月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 木下先生の中でもこの作品のタイトルが好きで、『キスも知らない〜』シリーズのあと、すぐに買いました!リーマンの日常の中で特別な出来事があるわけでもないけれど、リクローの10年越しの想い人である親友のヤスが、あっさり後輩に泣き落とされて、、、という事件をきっかけに、リクローが動き出すわけですが、これがなかなかに難しい!ずっと叶わないと思って、せめて友達として好かれるために生きて来たリクロー。どんな行動も想いが溢れて上手く距離を縮めることができず焦り、落ち込み、投げやりになったり、と、ほんとうにかわいそうです。対してヤスにしても、特別に思う大切な『親友』であるリクローを突然、恋の対象に見ることなどできず、戸惑い、もしかしたら親友を失ってしまうことになる不安も分かります。親友だからこそ分かる互いの性格やこれまでの言動に対して、身動きができなくなってしまうこともあったりして、もどかしい!やっぱり10年来の親友が恋人同士になるって難しいものだと、つくづく感じてしまいます。でもね、最後はヤスががんばってくれるんですよね!
私、最初、タイトルはリクロー視点かと思いましたが、ヤスの気持ちも表現してる、と感じました。『おまえと』、ってすごく距離が近い気がして、10年の月日があったからこその言葉じゃないですか?なにをするんだー!って、そんな下衆なことではなく、ただただ、何もかもがお前と一緒にいることが特別なんだ、というように聞こえて、幸せな気持ちになるタイトルです。本当にセンスある!と感じて、読めば読むほど幸せになる作品でした。
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