君と宇宙を歩くために
」のレビュー

君と宇宙を歩くために

泥ノ田犬彦

泣ける。当事者ならちょっと読むの辛いかも

ネタバレ
2024年4月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 平成時代のまだ発達障害が言語化や可視化されていない時代を舞台に、今で言えば自閉傾向がある宇野くんと多動傾向がある小林くんがお互いの孤独感や生きづらさを時にぶつかり合いながらも共感しあう様を描く人間ドラマです。
あくまで変わり者として描かれていますが宇野くんは明らかにASDの特性がはっきり描かれています。
言動、こだわりなど痛いほど自閉症なのにそれをはっきり言われないのはこの時代が平成だからで診断がはっきりされてないからです。
小林くんもそうで、不注意や衝動性、アンガーマネージメントなどADHDの特性があるけどもはっきりそうとは言われていません。
今もそうだし当時はなおさら何となく生きづらい、なんとなく人との関わりで違和感あると言う人がいたと思います。その例が宇野くんであり小林くんなのです。
だから読めば読むほど宇野くんや小林くんに似た特性を持つ人なら彼らの気持ちがわかりすぎて読むのが少し辛くなるかもしれません。
それでも二人がひょんなことから距離が近づき全然違う特性と個性を持っていながらお互いを支え合い友情が成立する過程はむしろ読み手にとって救いになると思います。
まだ一巻しかないし激しいストーリー展開があるわけではないのですが温かい涙が出てくるし今後二人がどうなるか楽しみです。
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