春の呪い
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春の呪い

小西明日翔

呪いの楔が見えるようだった。

2024年4月23日
いやぁ~小西節。
人の思いの強さ脆さがぐるぐるとまとわりつくように描かれていました。
登場人物のだれもが何かしらかのくさびにつながれている描き方。
えらい辛いわ。
先生って人をそのまま描くのがお上手ですよね。
物語のソフト面をドラマチックにまとっていても、登場人物の芯は人そのものを描いている。
そこが読んでいて引き込まれて面白い。
背徳感に絞殺されるような描写や、二人で二人の未来を踏み出そうとするシーンはどこまでも深い沼に沈んでゆくような心持で読んでしまいました。

生きていくということはイエスノーや〇✕、白黒で割り切れるものばかりではないし、自分の目の前で起きたこと、自分がそう感じたことがリアルであって結局はそこを受け止めながら行くしかないんだということ。

さっくりと突き付けられたような気がする作品でした。

面白かった…。
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