オメガ・メガエラ
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オメガ・メガエラ

丸木戸マキ

オメガバースに翻弄される壮大な人間ドラマ

2024年4月28日
試し読みしたら、「何か」が起こる予感しかしない、昼ドラのような展開に、既刊全て購入する程引き込まれてしまった…
これまで「BL」の「オメガバース」は何作も読んできたけど、これは「BL」の枠にも「オメガバース」の枠にも収まりきらない壮大なスケールの作品。
オメガバース性の優生思想に加え、かつての日本の家督制度、男女や貧富の差別の渦巻く社会の中で、登場人物皆が必死で抗い、縋り、傷つき、欺き、騙され、翻弄されていく…。
次から次へとんでもない事が起こり、何度「え、マジか」と呟いたか。予想だにしない展開に目が離せず、まさにジェットコースターだった。
確かに辛く苦しい、地獄のような場面、あります。ただ、そんなやるせない過酷な状況の中でも、何かを守ろうとしたり、何かを貫こうとしたり、葛藤しながらも前に進もうとする。優しさや強かさ、逞しさも感じられるはずです。それは希望であったり、友情、愛情、母性であったり。
最後、必ず未来への一条の光は見えるので安心してください!

『ディストピアを舞台にオメガバースでフェミニズムを描いた』という丸木戸先生の言葉そのままの作品ですが、全く中弛みすることなく描き切られた先生には畏敬の念しかないです。
オメガバースだけど、エロが前面に出るわけでなく。
フィクションだけど、どこかこの現実世界と地続きなところも感じられる。
誰もが偽らず、蔑まれず、自由でいられる世界を願ってやみません。
スト重の方、ヒューマンドラマ好きな方、BL嗜む方、オメガバース苦手な方にも、沢山の人に読んでほしい!!
(わたしのように)恐らく10巻一気に読んでしまうと思いますが、ぜひ読後じっくり余韻に浸る時間が取れる時をおすすめします!
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