2072
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2072

三月えみ

全90頁の深い深い物語に号泣

2024年4月29日
2055と繋がる、その17年後の物語。前作でも感じていた「それは愛なのか、エゴなのかを一生かけて問い続ける物語」と言いましょうか。

これは、ネタバレなしで読んで欲しい。

AIが人間を支える未来社会が舞台で、視点を切り替えたときに、まったく違う光景が見えてくる作風はさすがストーリーテラー。
既にAIは部分的に人間の能力を超えているけれども、理屈を超越して起こる衝動や情動から生まれる世界は、AIには紡ぎだせない。そこに人間の優位性があると考える身としては、最後には、全体主義と個人主義という言葉が浮かび、目の前にいるヒトを通じてそこにいない人を見る気持ちを想像して胸がヒリつき、涙が止まらなかった。はぁぁ、今回も深い…彼はそんな気持ちを一生抱えて生きていくのだろう。が、その末は…?いつかこの先も描いてほしい。三月先生、いつまでもお待ちします…拝
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