レビュー
今月(4月1日~4月30日)
レビュー数4件
いいねGET640件
シーモア島


投稿レビュー
-
-
-
-
-
夫さんの愛にじんわり癒される2025年3月19日主人公となるお母さんが、同世代で夫を亡くし、その遺言でいにしえのオタクだった過去が明らかになって…?と、子ども目線で見たら知らなかった母の姿にびっくり、なのですが、どうしても、同世代の主人公、いしにえのオタク母に感情移入してしまう、こちらの作品。女性は、子供になり、妻になり、母になり、といくつもの役割を担い、仮面をかぶって生き抜き、最後に素の自分に戻る。彼女の場合、その背中を押すのが、夫さん(死ぬ間際に言わなくても…と突っ込みたい)。が、最後に印象に残るのが、妻が本当に好きで、妻の好きなものが好きな夫さんの主人公への愛なんです…!いしにえのオタク向けの癒しのご本です🥰
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
イケオジとイケメンの新しい活用法に震える2024年9月7日普段、BL読んでる民なんですが、この作品、もう全力で推したい~!!!!
BLで、イケオジとイケメン、まんまのイメージの王道でもいいし、CP間でしか見せない表情のギャップにもやられてしまうタチなんですが、この作品は、イケメンなのに仕事ではポンコツ・でも家事上手!な多田野君と、完璧なイケオジに見えながら、実は生活能力ゼロの氷鷹社長の偶然の出会いが引き起こす疾走感溢れるギャグ満載の社会人コメディー作品なんです~!!!
多田野君の見た目イケメンなのに、頑張りが空回りしちゃうところが愛おしくて、やることなすこと「勘弁してくれ!」と吹き出すくらいおかしい。なのに、笑いが引いたらイケメンなので癒し効果抜群!
氷鷹社長も日頃はイメージを崩さないよう頑張っているのに、多田野君の前では素が出て、成長していこうとする姿が愛おしい!!!
そんなギャップ満載の2人の出会いがもたらすマリアージュのお陰で、氷鷹社長は社員との距離を縮めていって、多田野君も仕事に本領発揮できるようになって、壁となっていたコッチ(読者)までほっこりして…って、みんなWinWinじゃないっすかっ!!!
イケメン、イケオジの新たな活用法に、大いに笑い、感心しました👑
1巻値下げと1巻目限定クーポンが使えたので買ってみたけど、ホントに良かった~💕 -
-
-
-
170年前の絶望の現代性と救いと2024年8月19日2015年初版の青年漫画のバトルアクション作品の本作。
手にしたきっかけは、劇団四季の舞台が、あまりにも良かったから。
種々の設定があるのだけれど、主軸を実在したフローレンス・ナイチンゲール(フロー)と、今もあるイギリスのドルーリー・レーン王立劇場の伝説となっている幽霊、灰色の服の男(グレイ)、という異質な2人のラブロマンスと見ると、俄然面白くなってくる。
片や、一生独身で過ごしたクリミアの天使と呼ばれた聖人。だが、本作では裕福な家庭に生まれながら天啓を受け、人助けを生涯の使命と信じているのに、家族に理解されないしがらみから、自分の思うように生きることができない一人の若い女性として描かれている。絶望の中で彼女が望むのは死。しかし、キリスト教では自死は禁忌であるため、幽霊となって劇場にいるグレイに自分を殺すことを頼み込む。
対するグレイは、芝居好きの幽霊で、悲劇を見たいがためにこれを引き受けるが…。
試し読みでは分からないと思うのですが、このグレイが魅力的なんです。
後から明かされる彼の人生は、裏切りに始まり裏切りに終わり、人間不信にならざるを得ない存在。そんな彼が、唯一見た美しいものが芝居、というところで、日頃辛いことがあっても、舞台を見ている間は現実を忘れて人間の本質の美しさに心を動かされて生きてきたので感情移入して涙。
彼の生きざまを聞いてフローが、誰も独りで逝かせないと決意し、人間不信だったグレイがフローといるうちに、人間の中に美しさを見出していき、共にかけがえなない相手になっていく過程がさ…死にたがりの人間と、とっくに死んじゃって生きがいも何もなかった幽霊とが、お互いのために、生きがいを見つける姿、守るべきもののためにバトルする姿に、これまでのバトル・アクションに対する概念が変わったのです。
しかも、フローの偉業や、周囲にいる人物は史実に基づいているのが凄い。
グレイがフローが力強く成長する理由になっているという展開もお見事。
そして恋愛要素だけではなく、若い女性に対する家族や軍隊という男社会に絶望させられそうになる姿や戦争下での人間心理という現代に通じる問題も描かれていて170年前の出来事なのに古臭くない。結婚の祝い(サムシングフォー)のマザーグースの歌の伏線回収に大泣き。プロが探す作品に外れなしと実感したスタオベ作品♦史実と伝説の見事な融合、素晴らしき哉 -
-
-
-
電車の中で読めないことに変わりはない 笑2024年7月22日暑い夏の朝から、なんちゅうパンチの効いた企画を届けてくれるの、スタッ腐さん。
メインCPを傘と傘立てに疑物化する、でも周りのモブは裸の人間もいる水泳部って一体どんな世界線…?
細かい設定にツッコミを入れて読む作品ではないと分かっていても、傘がどうやってプールの中で前進するのか…?とか、傘立ての泳ぎがダイナミック過ぎてビックリしたり。
それと「カサバース」っていうから、生まれつきの第二の性って設定なの?と思っていたら、傘立ての大殿筋を傘が揉んでるし、ええっと、これはあくまでも濡れ場に男子の裸体を登場させないための設定なのか…と、読みながらこの世界観を理解するのに忙しいわ、笑えるわ、もう大変。
そして、肝心の濡れ場。これ、電車の中で読もうとしたけれど、絵面のあまりのシュールさと、セリフと擬音のエッチさのギャップにやられて、もう顔全体のニヤケが止められくなって、秒で断念しました。だって、はたから見たらびちゃびちゃの傘が激しく動いている絵を見てニヤニヤしてるただの変態のできあがりですもの。電車の中で読めないのがBLの最大のネックな自分にとっては、カサバースになっても同じことなのです😔
それにしても、攻めの傘が、1本で全身を表現していたり、局部を表現していたり、ウブそうな受けの先輩の穴の数の多さにビビったり、口かと思っていたら違う方のお口だったり、と読者の妄想力を極限まで試す、あぶく先生の表現力に脱帽。戸惑いながらも本気を出して描いてくれたことにも感謝!
レビュー数の伸び具合を含めて、夏休みの腐女子対象課題図書状態になっていて、この企画、大成功ですね。シーモアでBL読んでて良かった、とここ最近で一番思った作品でした👍沢山の人がレビューを書いて盛り上がるといいな✨ -
-
-
-
-
-
-
-
-
全90頁の深い深い物語に号泣2024年4月29日2055と繋がる、その17年後の物語。前作でも感じていた「それは愛なのか、エゴなのかを一生かけて問い続ける物語」と言いましょうか。
これは、ネタバレなしで読んで欲しい。
AIが人間を支える未来社会が舞台で、視点を切り替えたときに、まったく違う光景が見えてくる作風はさすがストーリーテラー。
既にAIは部分的に人間の能力を超えているけれども、理屈を超越して起こる衝動や情動から生まれる世界は、AIには紡ぎだせない。そこに人間の優位性があると考える身としては、最後には、全体主義と個人主義という言葉が浮かび、目の前にいるヒトを通じてそこにいない人を見る気持ちを想像して胸がヒリつき、涙が止まらなかった。はぁぁ、今回も深い…彼はそんな気持ちを一生抱えて生きていくのだろう。が、その末は…?いつかこの先も描いてほしい。三月先生、いつまでもお待ちします…拝 -
わたしたちは無痛恋愛がしたい ~鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん~
ほど良いリアルさを描くだけではない絶妙さ2024年4月29日とあるライターさんに「今を生きる私たちの人生観に影響を与えるかもしれない作品」と紹介されていたのがきっかけで読み始めました。
登場するのは、クズ男から抜け出せない裏垢女子・みなみ、つい人を構ってしまう世話焼き女子・ゆに、昇進しながら周囲に気遣いし過ぎる女性上司・赤井川さん、心に闇を抱えたインフルエンサー女子・うずらちゃん…と、個性豊かな女子陣。
表向き社会に合わせている彼女らが、裏垢や黒いコマで明かす深層心理の描写が鋭くて、読んでいる間、「あ、日頃、BLを壁や天井と化して読んでいるのに、この作品では若いころの自分や今の自分が、登場人物の誰かに分散して投影されている…!」と感じて、夢中で読んでいました。
あるよね、「一般的な幸せ」=「自分の幸せ」と思って、それに当てはめて生きているうちに、なにが本当の幸せなのか目をつぶってしまうことが。
おかしいな、と感じても、「そんな風に感じているの、自分だけなの?」と思って口に鍵をかけてしまうことが。
結構、リアルな「どうして自立したイイ女がクズ男にひっかかるのか?」問題、女子同士を分断しかねない恋愛観の違い、DV、パワハラetc…が取り上げられている。だが、それらへの共感や分析だけで終わらないのが本作の凄さ。傷ついた彼女らが、連帯し、痛みを言語化し、男と女の間に生まれてしまうすれ違いに立ち向かっていく様は痛快で、確実に読み手をエンパワーしてくれることに、感動すら覚えてしまうこと、この上ない。男社会で育ってしまった男達の思考回路を描くだけでなく、フェミおじさん・月寒さんの存在も癒しそもの。
まだ未完だけれど、黙っているだけでも、文句を言っているだけでもない彼女らに、私は確実に勇気づけられ、そうだよな、下駄を履かせてもらっている彼らだって履かせてもらっている下駄の分だけ無理しているのかもしれない、とフトコロが広くなった気さえするのです。
閉塞感を感じるリアル社会に風穴を開けてくれる作品。現実社会と向き合う作品を読んでみたくなったときに、是非。おススメです。 -
-
「失格」になったことで得たもの失ったもの2024年4月13日陸上選手の高校生の弟視点で始まるこの作品の魅力は、母不在の家族の中で、弁当も作り弟の健全な成長を祈る一見普通の褐色系男子である兄の日常の健全さと、実はゲイビに出演していたという非日常の不健全さの対比により、一体この兄にどのような秘密があるのか、と思わせる構成と、幼い頃から弟を守ってきた兄と守られてきた弟の関係が、兄が性的対象として取り上げられた動画を見ることで弟の兄に対する視線が熱を帯びたものに反転し、弟のために生きてきた兄が憔悴した弟の欲するものに応えているうちに、兄弟思いの善良な2人が超えてはならないのりを超えてしまう…という、何ともいえない背徳感にあると思う。
その過程を味わうだけでも、ドキドキして十分面白い。翻って考えてみると、太宰の「人間失格」と同じように、その性質上してはならないことをしてしまったという点では、確かに「兄弟失格」なのだろうけれど、本作は「失格」は「失格」でも読後感は明るい。兄弟としての関係は一生途切れることはなく、兄と弟が互いを思う気持ちはより強くなっている。兄が弟の気持ちに応えたことで、弟がヘテロとして生きていく可能性を失ったのかもしれない。けれど、弟の兄への無自覚な愛は幼い頃から芽生えていた描写からすると、お互いの気持ちが一番素直な形で結ばれた結末は温かく、失ったものより得たものの方が大きなものであると思えてならない。
ま、遺伝的な問題を生むことのない男の子同士だもんね…せいぜい励んでね、と年増な私はつぶやいてしまうのである(え、ダメ?)。 -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
宇宙の側にいるかもしれない大人より*追記2024年1月7日様々なもの事のボーダーが曖昧になりつつあるボーダーレス社会と呼ばれてもいる昨今。だが、それは男女間の見た目などといった分かりやすい面に関するもので、見えにくい面に関するボーダーは細分化されて残っているのではないか…などと考えている自分にとって、本作は漫画だからこそできる方法で、ボーダーを溶かしてくれる作品だ。
主人公の小林君は、勉強が苦手で、授業にもついて行けず、アルバイトでも失敗ばかり。家庭を含めて安心できる居場所のない彼のクラスに、人とは違う特徴のある転校生の宇野君がやってくる。記憶力は抜群なのだけど、音や突発的な出来事が苦手で、日々の行動のルールを細かくノートに書きそれを守ることで社会になじもうとしている。
そんな宇野君とある出来事をきっかけに行動を共にするようになった小林君は、宇野君が語る上手く行動できない時に感じる、この社会が宇宙のようで、孤独で怖くて恥ずかしい気持ちになることに共感を覚え、けれども宇宙…我々のいる社会…を歩きたい、だから命綱となるルールをノートに書いて社会に飛び込んでいく姿に感銘を受け、自らもノートを手にして苦手だった社会に自分の足で歩き始める。
多分、彼らの特性はなんらかの発達障がいに類するものなのでしょう。
実は、仕事の関係でそのような特性を持つ方と接する場面があり、同じ特性を持つ方から社会がどう見えるのかを書いた本を読んで、できるだけ理解したいと努めたことがある。しかしそのときはまだそのような努力をしなければ理解の難しい人なのだと、自分との間にボーダーを感じたままで読了した。
ところがこの作品は、漫画という手法を取ることで、自然に彼らの内面の純粋さ・素直さに人間として共感を覚え、そんな彼らから見た我々の属する社会が宇宙のように見えるという新鮮な驚きと、でもそこで絶望せずに自分自身の足で歩き、生きていくために工夫する姿に、ああ本当に障がいと呼ばれているものは個性なんだなと、初めて自分との間のボーダーが溶けた感覚を覚えたのだ。
普通の人だってこの社会を生きるために心の中に命綱を刻んで生きていると思う自分にとって新たな気付きをくれた快作*2,3巻読むたび涙腺崩壊…彼らの素直さ、井ノ上先生の優しさに心が洗われる。周囲の非寛容、庇護対象と見る心が彼らの自尊心を傷付ける展開に感情が揺さぶられる。まるでこの作品は自分の心を映す鏡のよう -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-