シティ・ライツ・バースデイ【電子限定描き下ろし付き】
本郷地下
でら
さん
(女性/30代)
総レビュー数:697件
このレビューはネタバレを含みます▼
オメガバースの運命の物語が大好きだからこそいつも頭をもたげる罪悪感と疑問。α、Ω、βが一生抱えるその悲しみの全てに寄り添うようなお話でした。運命は、それを叶えた人たちだけの歓びで、その周りで涙を流している人達は必ずいるし、もしかしたら運命の番の2人ですら翻弄されて苦しんでるのかもしれない。そういうジレンマに気づきながらもどうしても運命のロマンに逆らえないんだよなぁ。ネタバレ無しで読み始めたので、最後は蓮と結ばれるのだとばかり思っていて、ずっとその予感の中で読み進めつつどんどん東馬を好きになっちゃうから余計に悲しくて、涙がずっと目ン玉に滞在してました。普段読みホで漫画欲は満たすようにしてるので、なかなか購入まで至らないのですが、しかもこんな悲恋エンドっぽいやつ…試し読み増量でこれは買わなイカン‥とついポチリ。いや、買って良かったんです。これが蓮目線だったら、蓮を応援して運命の番に再会する事を願っただろうと思います。それくらいみんなのことが愛おしい。無条件に愛する人に愛されて欲しいと思えるような人達でした。蓮を探す時間が結構じっくり描かれているので、小説を読む感覚で、一人の青年の半生を知りたくなったし、それと同時に二人の関係が深まるほど嬉しいし恐いしで(笑)東馬はとっくに惹かれていた中で無意識にそれに名前をつけないようにしてて、まほろの客との距離感をぶっ壊してヒート中に東馬を招く行為にはア"ア"ッッ!!てなりました。エロのシーンは読者としたらご褒美のはずなのに切なくて…。βとΩが出会う時点で悲しい予感しかないって相当毒されてますよね‥。心がずっと叫んでたんですよ、もう。結果こうなんのかー、とかなり放心状態の今。嬉しいけどやっぱり悲しい。蓮の手紙を読んだからかな?まほろの蓮への想いをずっと見ていたからかな?2人がβとΩであることには変わりはないからかな?分からないけど、やっぱり悲しみはつきまといます。でも幸せ!おめでとう!ありがとう!!言葉の使い方も素敵で、言葉と場面の組み合わせで魅せてくれるシーンもとても多いです。物語を描ききった作者さんの漫画家としての力に惚れ惚れしました。こちらの作者さんの作品、集めてしまいそうな予感がしてます。
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