愛人を囲う冷徹な伯爵との典型的な政略結婚、そして嫌われからの溺愛、その結末。【シーモア限定特典SS付】
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愛人を囲う冷徹な伯爵との典型的な政略結婚、そして嫌われからの溺愛、その結末。【シーモア限定特典SS付】

宝楓カチカ/色素

辛い話だった

ネタバレ
2024年6月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前半部、極悪人レナンド伯爵が、復讐とは知らずに、純真無垢を演じるセシリアに惹かれていく流れは単純に恋愛物語の様子で、面白かった。愛を知ったレナンド、だが憎い憎いレナンドに愛され続ける中、僅かではあるがセシリア自体もその愛情には絆された部分があった様な気がするんだなあ、ただ憎いだけでなくて。でも、どうにもならないよね、復讐相手レナンドの罪が深すぎて。
後半部は、セシリア死後の現実的ストーリー展開と、マジに死後の世界の天国と地獄の話、というか魂の浄化と償い編みたいな。悪虐非道の仲間達は後悔も懺悔もなくひたすら地獄の業火で焼かれ続ける。浄化が何かは分からないけど。
一読者の私としては、改心したレナンドが地獄落ちしたあと輪廻の輪に戻してやってほしいなと願ってしまう。無法者で捕食者でしかなかった彼が、愛を知り、守る事を知り、罪を知り、他者の傷みを解り、他者を救い、罰を受け入れ、償おうとする、本心から。
だから、輪廻の輪に戻れる事を私は祈ってしまう。環境により穢された彼の魂が再び同じ過ちを犯す事はもう無いように思える。セシリアの苦しみと僅かに魂が共鳴しあった様子から、来世での穏やかな巡り逢いまでを考えずにおれない。赦しが彼に訪れますようにと。
神の御業が、訪れますようにと。
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