野田先生と清川先生 完全版
」のレビュー

野田先生と清川先生 完全版

おみけ

本心と性癖と

ネタバレ
2024年6月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ まず…SMかぁエロいな……と思って手を出したことに反省した……読む前、読み終わった後だと話が全く違って見える1冊。SM…サドとは、マゾとはなにかを考えさせられました。

自分を投げ打ってまで他人を助けてしまう、どこか頼りなさげだが本当は首絞めが一番興奮するSな野田先生✕生徒に人気の体育教師で首絞めが一番興奮するドMな清川先生。
清川の歴代の彼氏はみんな自称Sの勘違いばかりで今彼だって的外れな言葉責めに暴力を振るわれ、喧嘩別れした。学校では生徒にも好かれる人気者で、でも子供の頃からMであることを自覚していた清川は、自分の性癖に心底嫌気がさしていたが心から身を捧げることが出来る御主人様を欲していた。でも来る彼氏等は勘違いばかり。このまま1人で虚しく、1人で寂しさを乗り越えようとしていたが、同僚で隣に住んでいる野田先生が、ひょんなことから自分の性癖に付き合ってくれるという。
清川の下部を舐め、自分本位に喉奥を攻めてくれ、動けないよう身体を縛り、叩いてくれると、言う。
野田先生のいつものおっちょこちょいさは消え、真顔で、寧ろうっすら微笑んで野田先生は清川の尻に自身を入れ、清川を叩き、頸動脈に触れてきて、そして―……


というね!!!
暴力で青春時代を支配してきた憎むべき父親に顔も声もそっくりで、父と同じSであることに心底自身が許せない野田先生。どうして野田先生は生徒に私財をなげうってまで助けてしまうのか。どうして野田先生は清川に付き合って欲しいといいながら、清川を拒むのか。
清川は清川で、心とは反対に脳が快楽を求めてしまい、この性癖を理解してくれるパートナーが居ないことに悲しくなり、そして野田先生というパートナーが出来て、SであるのにSであることに苦しんでいる野田にどうしたら寄り添えるのかを考えていくのですが…、

本当にこれほど完成度が高いSMを題材としたBL漫画見たこと無い。
昔、甘◯鞭という映画を観たことがあるんですが、あれはあれで「トラウマを抱えた傷を自分自身で孤独に慰め、誰も助けてくれないから、自身を助けるために最悪の方法を取らざるを得なかった」という話でして、なんというか…これと対の話だなと勝手に思った。エロスなんですけど、救済もテーマであり…なんだろう。言葉に出来ないんですけど、見てるこっちも幸せな気持ちです。
作画も全コマ、すごく良かった。
読んで損は無しです。是非。
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