青春花心中
」のレビュー

青春花心中

河井英槻

人相が変わる程のツラさはあるんだろうなと

ネタバレ
2024年6月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 定期的に読み返す作品。作者の切ない物語は最高だな…と思います。

第一話のミントとカレー臭い情事は暴力的で(でも好きなシチュです)そんな雑な口臭の山崎先輩になぜ主人公は抱かれ、何を忘れたいと思っているんだろう?と。
2巻まで読んでまた1話を読み返すと、あぁぁ…と😩 そんな口臭を気ずかないくらい山崎先輩は主人公を焦がれていて…(人相が変わってしまうくらいに😩)主人公はそんな先輩だから抱かれたのかなと…

ある日突然想っている人が居なくなる辛さは、あんな風に何かちょっと精神的にも…なのだろうかと思ったり(その人にとって忘れられない、出先でも無意識に探してしまう人になるのかなと)これも恋愛のひとつなんだろうなと…。

第一話の山崎先輩は、竹中くんがまさかホテルまで付いて来るとは思わなかっただろうから…あんな気持ち悪さだけど(すみません…)、彼に背を向け寝たのは先輩らしい、不器用な気の遣い方だな…と思って沁みました。

そこから第二話を先輩視点で読むと、逆に主人公 竹中くんよ…と😩 (悪気はなくても、)その言葉を今の先輩に言ったら完全に狂うよ…やめなよ…と思って気の毒になりました。

物語は過去に戻り、主人公と吉村さんの出会い、先輩との出会い、それぞれの家庭環境、学生生活を振り返り…また東京へと戻るのですが、今日は先輩、ある時は主人公、吉村さん、2人の親友鹿島先輩…とそれぞれの視点で読むとめちゃくちゃ面白くて、何度も読みたくなる物語です。

何となくこの主人公が初恋の人に似た吉村さんと別れてしまったイライラに共感し、温かい実家、両親そろって兄弟仲も良くわちゃわちゃ楽しい…そんな家庭で育った彼に想われた事は夢の様で、最初は先輩の事も忘れただろうけど、そのうち疲れたんだろうなと。そんなキラキラした家庭の吉村さんは眩しすぎて、それに相応し自分でいようと甘えられないし、自分の醜さも見せれない。だからやっぱり山崎先輩なんだろうなと…

主人公が東京行きを先輩に伝えなかったのも、意地悪をしたんだろうなと(…先輩に)、来れるもんなら来てみ、と。
あのバイクもそうだけど、気持ちを言えない、そんな不器用な先輩が…ちょっと怖いしつこさだけど…BLらしい攻め殿だなと思いました。

物語の世界が切なく美しいのは、言葉や間が詩的だからかなと。2人の後日談もあるという「とろとろなふたり」へ…
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