薔薇王の葬列 王妃と薔薇の騎士
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薔薇王の葬列 王妃と薔薇の騎士

菅野文

薔薇戦争始まりの物語

2024年6月19日
ヘンリー6世王妃マーガレットが主人公の外伝で、時系列では本編よりも遡る。
史実でも平和主義で意思薄弱とされるヘンリー6世に嫁いだマーガレットが、いかにして本編の様な悪役ともいえる王妃となったのか、それが必然だった事がこちらを読めば理解できる。
薔薇王の葬列はこの外伝含め人物設定が実に巧みで、史実に基づく登場人物の行動が、納得させられる形で進行していく。
だからこそ、それぞれが運命に抗いながら懸命に生き、戦う姿に共感し、心打たれる。
マーガレットとサフォークの運命も然り。

また、今作では若かりしヨーク公リチャードと、まだ初々しいウォリックに出会えるのが感慨深い。
本編でリチャードの現し身のようだった“しろいの”短編も収録されており、そこでバッキンガムやティレルに会えるのも嬉しい。本編を読んだ上でこちらを読むと何倍も楽しめるので併せて推奨したい。
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