半魔の竜騎士は、辺境伯に執着される【シーモア限定版】
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半魔の竜騎士は、辺境伯に執着される【シーモア限定版】

森永あぐり/矢城慧兎

人間の描き方が上手すぎる

2024年6月19日
BLとしてももちろん最高なんだけど、物語としての完成度が高すぎて思わずレビュー。
特にカイルと産みの親との関係の描き方が上手すぎて感動しました。最初はどうしてもカイル目線で見てしまうから産みの親が本当に嫌いだったし許せなかったけど、彼女の過去を知りこうなるしかなかった人なんだなぁと。息子の目と自分を犯した男の目が重なり、か弱い少女に戻る彼女の描写はさすがに同情しました。この二人をどう決着着けるのかと思っていましたが、カイルが彼女への感情を捨てた時ようやく彼女はカイルを「自分を犯した化け物の子」ではなく「息子」として認識したのが切なくも綺麗でした。そしてなにより、彼女が伸ばした手をキースが止めるのが凄く良かった。優しすぎるカイルにかわって手をはらうキースが心強い。あそこで彼女が許されてしまったらさすがに都合がよすぎるしこちらもモヤモヤしてしまうところを、ああいう描写にしたのは本当に上手で感動。一貫してカイルを傷つけたことを絶対に許さないキースが大好き。キースが彼女にかけた言葉も強くて好きでした。カイルが最後に彼女にかけた「時間を巻き戻せるなら救ってあげたい」という台詞も、カイルの優しさ溢れる人間性が出ていて本当に素敵。
キースを筆頭にキトラやテオドールなど脇役達が凄く良い。ハインツも嫌な奴だけど、カイルのことを本気で好きだったような描写があるのでこれからがとても気になります。
もちろん主役であるカイルとアルフレートも最高です。”元彼”から始まる関係が面白かったし、離れていた期間も、そして再会してからも常にお互いを想いあっているのが素敵。
BLとしてもファンタジー作品としても面白くて、次巻も本当に楽しみ。
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