ひだまりが聴こえる -幸福論-
」のレビュー

ひだまりが聴こえる -幸福論-

文乃ゆき

その後の二人を見たい人の続編だが…

2024年6月30日
三歩進んで二歩下がる、みたいな感じもしないでもない。(因みに私はBLらしいイチャイチャを読みたい意味では書いてない。)
進路見つけたのは大切、それでもその飛び込み方に、太一らしさはありつつもかなりの強引さを感じる。
マヤの配置がお話の都合に見えてしまってそこも絡みが強すぎた印象。彼女の「オオカミ女」っぷりと、その後のいろいろが少々物語世界を狭くしたように思う。
航平の、忘れてた怒ること笑うこと/思い出した、は、前作と重複感はあるものの本作で強調されても、くどさは無かった。

ひだまりにしても木洩れ日にしても、木々と光の絵が清々しさと眩しすぎない惹きつけられる明るさがあって、作品の雰囲気が格段に上がる。黒白世界が、緑が見えるようで素晴らしい。
階段の水溜まりのシーンも良かった。
航平の引け目を太一が振り払う最後の行動は既に二人の関係に脆さが減った証拠に思えるのに、ここに至るまで丸1巻かかってることに、読み終わってみれば何となくの遅滞を思わされる。それにその行動に解決をお任せ過ぎる印象も。

犀おじさんとのやりとり(108/312)が深いので、動かされた。「どちらかが満足すれば/どちらかの不満を生む。」の話は前作に連なる一本の道の、本作の強い部分として印象づけた。
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