このレビューはネタバレを含みます▼
顔だけ俳優と言われているウミと、城の役を褒めてくれたヤマのお話。
自分の中でどう落とし込んでいくべきか、非常に悩ましい作品でした。
ある意味一生忘れられない作品にはなりました。
とりあえず、モブの人たちの顔がもれなくクセが強すぎます。
にもかかわらず、誰もツッコミを入れない世界。
でも一番変なのは主人公でした。
俳優辞めたいってマネジャーのほっぺ潰すし、社長室襲撃してるし、過去のあれだけでヤマのことを好きになるのも思い込み(刷り込み?)が激しすぎてちょっと怖い。
ヤマに再会した時の反応もあまりに凄すぎて笑えません…。
ヤマの感想は、そのまま読者の感想でした。
あんなの採用したら大変なことになる(笑)
ここからも本当に大変でした(読むのが)。
先ほど笑えないって言ったばかりでしたが、BLでこんなに声出して笑う? ってくらい笑ってしまいました。
脇覗き込んで「天国の入り口」って…。
質問事項も本当に1000個ありそうなくらい敷き詰まってる。
こんなに全く共感できないほどにイカレてる(ある意味褒めてます)、ヤマに彼女がいて結婚するつもりだという話が出た際は、不思議とこちらまで切なくなりました。
ただ、ストーカー事件からの急展開にはちょっとついていけませんでした。
今までのアレコレを覆すほどのヤマの心の動きがいつあったのか、謎でした。
キュウリ4000個頑張ったから? ヤマの中で城役はそんな重要なポジションだった? とくに思いを馳せている描写も無かったので、どこがヤマの心の琴線に触れたのかよく分かりませんでした。
変なお笑いというか、シュールな描写は事細かく数えきれないくらいあるのに、恋愛描写は圧倒的に足りていませんでした。
まぁ、そんなカオスな中でも、ヤマがウミに対してもノリに対しても、できる限りの誠実な対応をしてくれたのは良かったです。
しっかり両想いになったのが4年後というのも、ノリに対するケジメ的な感じで、ウミを見直しました。よく我慢したね。
こんなシュールな世界観(ほぼウミのせい)で、よくぞハッピーエンドまで漕ぎつけられたなぁとしか言えません。
無理やり収めた感は無きにしも非ずでしたが、これはこれで良かったです。
多分普通に進めていたら、一生終われないタイプの話な気がします。
ただ、私はヤマがそのままノリと結婚お別れエンドでも、きっと納得はできたかな。