神様なんか信じない僕らのエデン
」のレビュー

神様なんか信じない僕らのエデン

一ノ瀬ゆま

色々な面で斬新かつ独創的

ネタバレ
2024年8月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 完結するまでレビュー控えようと思ったけど、予想より長くなりそうなので。
テーマとしてまず「オメガバの起源」というところに目を付けたのがものすごく斬新でした。もう飽和しまくってるこのジャンルの、まさかの原点とは。
そしてまた、その「人類の進化」というテーマを自然に展開していけるキャラである喬くんの設定を、よく思いついた上に、結果的にアルファの資質としてもうまく活かせるものにできたなという驚嘆。ストーリーだけでなく、キャラ設定もすごく創り込まれていると思います。

物語の進みはゆっくりで、スピード展開や1巻読み切りのBLでは、レビュー見てるとこの点も評価が分かれやすい一因な気もします。
私も無駄に中身のない冗長なBLは大嫌いですが、この「進化起源」の正体を明かすのは容易ではないし、そのためにきちんと練られたストーリー展開を踏んでると思うので、単にBがLするという枠を超えた秀逸作品として長さは気になりません。

絵柄は好みによるとしか言えませんが、一ノ瀬先生の絵やデッサン力は作品ごとに、そして巻を経るごとに更に洗練されていて目を奪われます。特に今回のオメガバにおいて使われている独特の表現方法などは他に見ないもので、発想もアウトプット技術も素晴らしく、作品への熱量が覗えます。
持論として、表紙や挿入デザインなどがテンプレでなく独自デザインで秀逸な作家さんは作品クオリティも高い傾向だと思っていますが、正に今作もそうでした。

キャラの表情も生き生きとして喜怒哀楽のどれもリアルで躍動感があり、BLに限らず人物描き分けすらできない漫画家さんもごまんといる中、主人公2人だけでなく家族や周囲のキャラも非常に魅力的に描かれています。個人的には喬くん父大好き(笑)こんな親が欲しかったな〜。

西央くんの色香も半端なく美しいですが、受けをいわゆる「女子・乙女キャラ」に成り下げずに「男性であること」を維持してここまでの色気を描くことのできる手腕も、自分的に高評価作家様のポイントです。

長々と書き散らしましたが、とにかく絵もストーリーも独自性とクオリティの高い作品で、オメガバジャンルに留まらず、他に類を見ない斬新な作品です。最初の上下巻は「起源発覚」の導入段階で、確かに致してるシーンが多々のため躓く方もいるかもですが、ぜひその先を読んでいただきたいですね。今後の展開もすごく楽しみにしています
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