光の箱
」のレビュー

光の箱

衿沢世衣子

あの世とこの世の境目は

ネタバレ
2024年8月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初は夜のえらく混んだコンビニ。何かの荷物を送る人、何かを買う人達でごった返している。
日本中至る所にあるこの光の箱が、何処かと繋がるステーションだったとしたら?
本読みの手練れさんから「SF」だと聞いてこちらから探して読んでみました。
女性マンガバンザイ。素晴らしい。
生死の境にいる人間がやって来るコンビニ。闇の中で光る箱の中で何が起きているのか。

夜光虫の如く寄ってくるのは黒い闇。人々はこのコンビニで好きなものを買い、帰る先は現世かあの世か。

主人公は事故で即死寸前だった大学院生。命を助けてもらう代わりに得体の知れないコンビニで働くことになります。
同僚は異星人、店に居着いたペットは闇の猫。店長は「魔」の遣い手。
この世界のいくつかの情報が提示され、そこにやって来る生死の境にいる人々の人生が垣間見える。
生きるか死ぬかの境目にいる、ということを、コンビニに入って来た時点でその人たちは知らないんですよね。
そして何某かの選択がなされ、品物を買ったり送ったり。生きてこの世に還ったり、日常には帰れなかったり。
初読み作家さまですが、人生の逢魔が時をSFともファンタジーとも括れない雰囲気で、コンビニと掛け合わせた時点で勝ってます。
生死の狭間に生き続ける青年は、それでも成長して行くわけで。続き、楽しみに読みます。
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