薔薇王の葬列
」のレビュー

薔薇王の葬列

菅野文

美しくて切ない。

ネタバレ
2024年8月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ まず絵が物凄く綺麗です。その中に起こる残酷で美しく繰り広げられるストーリー。主人公のリチャードが最初不憫でならなかった。実の母親に兄弟の中でリチャードだけが愛されない寂しさ哀しみが読んでいて辛くなる。体つきが違うだけでなぜ? 時代背景の関係もあるかもだけど、実の子なら尚更可愛いがってあげてよ。唯一の救いは父の愛情だなって思いました。そんな父も残忍な殺され方をされ胸が痛いです。
リチャードの心も殺された気分になりました。自分は悪魔の子、呪われていると苦しむリチャードが切ない。もし、ちゃんと母に愛されていたら違う未来があったかもしれない。
バッキンガムとの絡みも好きな場面のひとつでしたが、ヘンリーとの時間も尊かったです。強く気高くひたすらに王を目指し王になったけれどリチャードの光とか幸せとか私には見えませんでした。でも何処かで幸せを感じれた瞬間が彼女にあったと思いたい。散々苦しみながらも、茨の道を生きリチャードは王を全うしたんだと感じました。ずっと側で支え続けていたケイツビーの姿も見ていて凄く辛かった。
誰よりもリチャードの事を大切に思っていた人なんじゃないかな。彼にもいつか幸せになって欲しいです。
全ての悲劇の元凶は、母親の身勝手さや呪縛からきたような気がします。他にもクセ強なキャラが目白押しで面白かったです。ラストが切なすぎました。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!