クリスマスローズがひっそりと見守る恋

ネタバレ

2024年8月21日

このレビューはネタバレを含みます▼ 花屋で働く水敷巴には､いつも南雲佳人が寄り添っています｡11年前､母親が亡くなったのをきっかけに巴の父親は出来の良い兄に専念しようと巴を切り捨て､巴の面倒をみさせる為に南雲を施設から引き取ったのでした｡何事も兄のようにはできないこと､巴を迎えに行く途中で事故に巻き込まれて母親が亡くなったこと､父親と兄に見捨てられたこと､9歳の巴には背負いきれない悲しみを､生まれてすぐに捨てられて施設で育った14歳の南雲が支えてきたのでした｡その南雲が､水敷の経営する会社で巴の兄の秘書になるよう申し渡されます｡巴は淋しい気持ちを隠してお祝いの花束を作って南雲に渡すのでした｡健気な巴に南雲は｢好きです｣とキスしてきます｡二人で家を出ようと言う南雲に､このままでは南雲の将来をダメにしてしまうと巴は姿を消してしまうのでした｡現代の主従ものは､お互いに長年隠してきた想いがひとひらずつ静かに重なってゆき､最後に溢れ出します｡物静かな二人の想いの丈がぶつかるクライマックスとの緩急が良きでした｡

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pug さん

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