このレビューはネタバレを含みます▼
ポルトガルの知識が皆無過ぎて、地名が出てくるたびGoogle Mapで景色を眺め、「ファド」「セビジャーナス」を動画で眺め、「恋のアランフェス」を聴き、と少しでも世界観に近付きたくてネットを駆使しながら読みました。
旅先で実際の景色や音楽に触れて、このようなドラマティックな作品を生み出せる作家様の感受性に感服です。
郷愁を誘う異国の空気をリアルに描くことで、日本人の歌い手とラテンのマフィアといういかにもハーレクイン的な設定であっても、重厚でひと味違うBLドラマになっていると思います。
冒頭で攻めが「泥塗れになってファドの魂を理解しろ」言うたときは、この人なに言うてるんやさっぱりわからん、と思いましたが、終盤に受けが「ひきかえに、純度の高い愛がある」と返して、そうかそういうことか…と、私には難しいファドの魂が少し分かったような気になったり…。
数年間にわたる受けの苦難の日々を描いていて、不憫受け好きには大満足なストーリーなんですが、ドン底に堕ちるシーンの次がだいたい「あれから1年」とか「そして数ヶ月後」となるので、そこをもうちょっと詳しく読みたいんだけどな…ともどかしく感じたので、星4つで。