本好きの下剋上
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本好きの下剋上

香月美夜/椎名優

最高の作品でした

ネタバレ
2024年9月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前世で本が大好きだったマインが、転生した(自分の周りに)本の無い世界でも本を読もうと奮闘し続けるお話。

小説版で33巻。
読むのに半月以上かかりました。
2部3部4部が同時進行でコミカライズされているのも納得です。

とにかく全編を通してマインの本に対する情熱が凄いです。
普通の異世界転生もののご都合主義が全く存在せず、周囲に文字もろくに存在しない、もちろん本なんてあるわけがない環境からのスタート。

序盤はマインが文字を覚え、異世界知識で資金を作り紙を開発等商人としての側面が強めですが、徐々に神殿、貴族、国、神々…と、どんどんスケールが大きくなっていきます。
どのステージにおいても読み進める手が止まらないほど面白いです。
無い無い尽くしの下町での工夫、魔力の存在を知ってからの神殿生活、領主の養女になってからのユレーヴェ素材探し、貴族院生活、次々と新しい要素が加わり、長い作品でありながら飽きさせることがありません。

ただ、登場人物、領地の名前、神々の名前、固有名詞がたくさん飛び交う作品なので、各小説に掲載されている地図、人物紹介ページを参照しつつ読むのがおすすめです。
確認しつつ読む方が理解が深まります。

全体のストーリーももちろん最高でしたが、途中までちらりとも匂わせなかったまさかまさかの恋愛要素(家族愛?)も入っています。
最後まで読んだ人は必ず叫ぶはず…フェルディナンド様~!! と(笑)

4部の終盤、長椅子をローゼマインに残したフェルディナンド様。このシーンは切なくて涙が出ました。
5部ではフェルディナンド様を救出に向かうローゼマイン達の奮闘をハラハラと見守り、記憶を探るシーンではフェルディナンド様の心情が…。
2部での記憶を探るシーンと読み比べてみてください。涙なしには読めません。
そして、2部のあの祝福がまさかの伏線…!

途中辛いシーンが何度かあり、フェルディナンド様は果たして幸せになれるのかとヤキモキしながら読んでいましたが(気分的にヒロインはフェルディナンド様)、エーレンフェストでは手に入れられなかった幸せを得られたフェルディナンド様がとても幸せそうで、最後は大満足で読了できました。

長いので気合が必要そうですが、何度も読み返したいし、出来れば続きが激しく読みたい作品。
せめて星結びの儀が読みたい…。
想像で補完しつつ、今は余韻に浸りたいと思います。
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