どの口で運命とか言ってんだ【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】
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どの口で運命とか言ってんだ【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】

新藤伊菜

ホラーからBLへのギアチェンジが👍

ネタバレ
2024年9月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 本格お仕事BLの名手の新藤先生による、色々視えちゃう大学生と、無自覚な人たらしワンコのホラーラブコメ作品なんですが、もう、物凄い情報量で、ホンッとに最終話になるまで、この話、どの方向に進むんだろ?とBLであることを忘れそうになった最終話で、急にBLへのギアチェンジが入って驚いた~、でもすっごい面白かった~!な読後感でした🌙
【以下、ネタバレ】
いや、もう最初に登場する生霊のインパクトだけで掴みはオッケーなんだけど…なんで口からお尻出てんだろ…とか、なんで下駄なんだろ…とか、ツッコミどころは沢山あるものの、後からちゃんと笑える形で伏線回収してくれるんでご安心を。
視えるがゆえに、普通ではない悲哀を抱えて生きてきた義祥(受け)視点で話は始まるのだけれど、この義祥が悪霊なんかを祓う姿がカッコ良くて。そりゃあ、視えない我々からしたら救いの神!的な存在なわけで。そんな受けから人助けをしてもらったノンケの司(攻め)が、受けに懐いて一緒に人助けをしたりするうちに、今度は受けが今まで嫌悪してきた自分と自分の能力を肯定的に受け止められるようになっていく過程が、描かれていて、あらあら、むっちゃいい話やん…とエモさを感じて、ジーンとしたりして。

そんな、いい話展開かと思っていたところで、攻めについている生霊(女子)が、あまりに強くて、コイツ、何をしたら嫌がるか?ってところで、BLスイッチがちょっと入るんです。でも、その後、攻めの守護霊なんかの色濃いキャラが登場。もう、最後は、受けの先祖への不満やらを、パーっと光を浴びせたかのように解消していくんですが、ホンッと、新藤先生は広げた風呂敷をたたむのが上手くて、読んでいるうちに爽快感を感じるほど。

そして「あー、良かった良かった…あら、これBLだったわよね?」と思い出したところで、ちゃんとBLスイッチ入るんです。さすが新藤先生、ぬかりがありません!ノンケが受けに好意持っちゃう展開も、ちゃんと人として好意を持っところから段階を踏んでいるから不自然じゃないです。しっかし、これ元カノが、BL民だったらBLにならなかったって話なんで、読んでる間は元カノに敵意を感じていたのに、読後は感謝の気持ちに転じちゃうのもおかしかった☘普段、澄ましている受けがエチでは蕩けて、へたれ感のある攻めが、あらあら夜はどエッチなギャップも、とーっても、良かったです!
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