このレビューはネタバレを含みます▼
親切にフィクションな中華圏黒社会BL。
絵は美しくコスプレ三昧、見どころがバシッと用意されていてほとんど趣味を詰め込んだような濡れ場なんかも贅沢なほど配分されている、いい意味でエンターテイメントしている作品だとおもいます。これがデビュー作というのが信じられない完成度。オノマトペの書き方も昭和っぽくて独特。
表紙からもうかがえるように、物語の舞台はまるでシャンティというボカロ曲を思わせる、切った張ったの刹那的な裏社会。
それにしてはユエンに過去の葛藤なんかないような展開が続いたり、ユエンを庇った後のヤンの有様が語られていなかったり、やけにあっさり面倒ごとが片付いたりのご都合予定調和が気になりまして…苦渋の末に星を少し減らすことにしました。※たとえば過去にあれだけの悲劇を体験したのに春を売るってなにとか、「もうあんなやつ(過去のヤン)忘れちまえよ」→「無理です」→ヤンが忘れられないのに正体を隠した青柳とエッチするてなんやねん、みたいな自分の価値観に基づく矛盾。
「察してね」的なカットではなく、もし互いのトラウマを払拭する描写や血ヘドを吐くような這い上がりエピソードがひとつでも挿入されていたら、より作品に対する情が深まったかもな(そうなると一巻で終われない可能性)。
ただし、単話の番外編は星5つ。たったの150円の中にバリエーション豊かなエロと幻想的な幸せと後日談がボリューミーに収まっています。コスパ最高。全編通して修正は部分白線、ユエンの色気が限界突破、弾けるようなティクビは艶かしく、バキバキの血管や達した後のフニャティン、タマタマのたるみまできっちり描かれているのに驚きです。
★4.5