オマージュと幻想と創作熱をミステリ仕立で





2024年9月23日
352ページ。
お値段は張りますが、単行本2冊分のボリュームです。
大正時代。漫画絵描きの十次と、謎多き変わり者の亞一との出会いから始まる物語。ミステリー仕立てになっており、幻想的な表現をまじえて明かされていく、亞一の心情や過去がとても良かったです。
更にこの作品を私好みにしているのが、芯にある「創作」への熱。似たアンテナを持つ二人が共鳴して、降り注ぐ創作のインスピレーションという慈雨を受け止めているように思えます。亞一の純粋さ(良いことばかりではない)に宿る巫覡にも似た文学の才、十次の奥に確固として存在するイメージの泉、互いに刺激し合い引き出し合う関係性はかけがえがなく、ずっとそのままでいてほしいという夢のような関係です。この二人の作品が実際には見られないのが悔しい。きっと出版されるであろう美しい装丁の幻想文学の本……古本屋の片隅で見つけられたら良いのに……なんで、なんでフィクションなんだ……!
作品説明に「複数の文学作品を下敷きに」とあるように、いろいろとオマージュが見て取れます(さほど詳しくはないので見落とし多そう)。知らなくても充分楽しめるフィクション作品ですが、江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』と『お勢登場』は読んでおくと楽しさが増すと思います。長持って魅力的……。
あと、下宿の花ちゃんの素直な腐女子ぶりがかわいかったです。
〜〜〜〜〜
他レビュアーさんの記載にありますように、著者pixivに、こぼれ話がございます。気付いてなかったのでありがとう、読んできました。みなさまも是非。
お値段は張りますが、単行本2冊分のボリュームです。
大正時代。漫画絵描きの十次と、謎多き変わり者の亞一との出会いから始まる物語。ミステリー仕立てになっており、幻想的な表現をまじえて明かされていく、亞一の心情や過去がとても良かったです。
更にこの作品を私好みにしているのが、芯にある「創作」への熱。似たアンテナを持つ二人が共鳴して、降り注ぐ創作のインスピレーションという慈雨を受け止めているように思えます。亞一の純粋さ(良いことばかりではない)に宿る巫覡にも似た文学の才、十次の奥に確固として存在するイメージの泉、互いに刺激し合い引き出し合う関係性はかけがえがなく、ずっとそのままでいてほしいという夢のような関係です。この二人の作品が実際には見られないのが悔しい。きっと出版されるであろう美しい装丁の幻想文学の本……古本屋の片隅で見つけられたら良いのに……なんで、なんでフィクションなんだ……!
作品説明に「複数の文学作品を下敷きに」とあるように、いろいろとオマージュが見て取れます(さほど詳しくはないので見落とし多そう)。知らなくても充分楽しめるフィクション作品ですが、江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』と『お勢登場』は読んでおくと楽しさが増すと思います。長持って魅力的……。
あと、下宿の花ちゃんの素直な腐女子ぶりがかわいかったです。
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他レビュアーさんの記載にありますように、著者pixivに、こぼれ話がございます。気付いてなかったのでありがとう、読んできました。みなさまも是非。

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shikimi さん
(女性/50代) 総レビュー数:431件