ギヴン
」のレビュー

ギヴン

キヅナツキ

評価は自分で読んで確かめてほしい

2024年9月24日
ギヴンというバンドのメンバーがどのように出会い、恋をし、グループとして、個人として成長していくかを描いた青春群像物語。
アニメや映画など、別の媒体も含め大人気なこの作品。とても有名だけど、レビューの低評価にいいねがたくさんついていて、購入するかどうか迷っていました。今回、セールをきっかけに怖いものみたさで購入を決意。率直に言って、私は買って良かったです。
確かにレビューの通り、夏冬の恋の進展がほぼないとか、柊ターンの話が長い、誰がメインか分からない、近場でくっつき過ぎるなどの評価はその通りだなと思います。実際、話の内容が分かってからの2周目を読んでも、あちこちに話が飛ぶので、理解と興味の維持が難しいと感じました。登場人物それぞれがメインになる話があり、やっといい感じに盛り上がってきたところで別のキャラターンにチェンジ。主軸の夏冬がすっかり固まった安定CPなら分かりますが、そこもゴタゴタしながら、周りの人の話も展開されるからややこしい。真冬の感情などをもっと深く掘り下げて描いてもらった方が、読みやすいし理解しやすかったのではと思います。
ただ、ギヴン4人の成長を描く為には、個々の想いを知る必要があったのも分かるし、軸となる真冬の過去を知るためにも柊たちとの関係性も必要だったのは分かります。そしてその音楽の源に恋の力があったから、それぞれの恋愛への考え方を知るために恋愛遍歴を知ることも重要なのだとも思います。全てを知らなければ答えは出ないけど、ストーリーとしては盛り込みすぎ。多少の引き算があった方が分かりやすかった気がしました。また、人物関係はモリモリだけど、感情面は皆曖昧な言葉で表現されているので気持ちを汲み取るのが私には難しかったです。でもその曖昧さにこそ、色々な人の色々な想いが共鳴するのかなとも感じました。
そして、全てが恋愛として描かれているけど、男同士、同じ夢を追う者同士の尊敬や敬愛、感情や魂を刺激する才能、切磋琢磨しあえるプライドなど、そういうものでも成り立った物語だと思いました。BLというより、青春群像物語の側面が強いから、多くの人の心を揺さぶったのではないでしょうか。BがLするお話を読みたかった人には物足りないかもしれませんが、物語としてはとても良作です。過去を乗り越え、将来に悩みながらも、互いに高め合える仲間と前を向いて生きていく、心に響く物語です。
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