左近の桜
」のレビュー

左近の桜

長野まゆみ

夢と現の境界線がせめぎあう

ネタバレ
2024年9月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 長野まゆみ先生初読みでしたが、なんとも不可思議で独特な世界観でした。まるで幻想小説のようなオカルトミステリのようでもあり…いやはやよく分かりませんが、とても伝奇的なのでしょうか。
桜蔵がうかつなのか、彼に触れたいあやかしたちが上手なのか。まさに煙に巻かれるというような曖昧な物語の連続で、読了後もしばらくぼんやりとしてまとまりのない思考でフワフワしています。とにかく、全てがあいまいと言いますか…
とある事情から「左近」に居候することになる教師の羽ノ浦先生と、彼を慕う桜蔵の弟千菊くんに惹かれてやまないのです。普段はパッとしないお人好しの生物部顧問教師がお酒が入ると人格が変わる?どうにも彼の実態がつかめない。
自宅の庭でいつも捕虫あみをふりまわしているという、ユニークなゆで玉子大好きっ子生物部の千菊くん。昆虫図鑑と標本作りも好きで、白雪こうをしばらく眺めて番茶に溶かして飲むとか。もうこういう意味のわからないユーモア溢れるかわいこちゃんキャラは気になってしょうがない。

ただ、柾や遠子らが桜蔵に対して使う「女」という言い回しは、私にはどうしても差別的な表現としか感じられなくて好ましくなかった
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