このレビューはネタバレを含みます▼
じんわりと涙が出る。余韻がすごい作品。
幼馴染だった元消防士と元シェフの夫夫。
仲良しの年配夫夫に癒されつつ読みました。
2人で作って食べるお料理も美味しそうでしたが、圧巻は互いの家族の(特に修志の)エピソードでした。
最近続けて毒親や犯罪被害の本を読んでいたため、どうしても重なってしまいます。年齢、ジェンダー、昔のよくある家族神話に縛られ狂い狂わされた人生。
親の価値観の押し付けが招く悲劇。
毒親も自分1人で毒親になったわけではなく、それぞれ時代や家族によってモンスター化した人間だと、そこまで描いてあるのがこの作品をより深いものにしています。
修志には姉やきーちゃんとその家族が、毒親の修志母にはお兄さんがと、それぞれに救いがあるのが良い。
家族の問題は根深く、きーちゃんが修志の自己肯定感の低さを癒していく過程は本来もっと辛いはず。
作者様の優しさなのか、読後感良き作品になっていることに感謝です。読めてよかった。