プリフェクトの箱庭【電子限定漫画付き】
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プリフェクトの箱庭【電子限定漫画付き】

左藤さなゆき

美と闇と執着、でも温かい愛あり

ネタバレ
2024年10月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ とにかく面白かったです!左藤先生の作品は、ストーリー展開が巧みで、没頭して一冊を一瞬で読み終わってしまう感じ、、漫画家としての力量を感じます。闇と月明かりや箱庭など情景描写が美しく、また、人の心の闇と光の心情描写も巧みで、美を感じながらもドロドロとした人間模様も味わえる作品。しかし一番の面白さは、東院月人と澪斗の心が寄り添っていき、共に生きる覚悟をして愛を貫くところだと思いました。その過程の二人の悲しみ、焦り、怒り、喜びや葛藤等が丁寧に描かれていて、惹きつけられました。社会ステータス的に上位の集団の中では、その最上位にいる東院家に近付く庶民は周りからの攻撃対象であり、実際に澪斗は命に関わる危害を何度も加えられてしまう。そのような事態が何度も起こる中で、月人はどうやって澪斗を守るか、共に安全に二人の世界で生きるためにどうすべきか、澪斗が自分と生きてくれるのか?手放すべきか?と悩み考えながら、最後は澪斗の気持ちや覚悟を確認して、二人の未来のために家も捨てて新しい箱庭を用意する。澪斗に与えられた心を大事に噛み締めながら、これまで周りから神様としてしか扱われなかった月人が人らしく変わっていく。面白くてすぐに読めてしまう紙面の中で、このような心打たれる素敵な核がよく描かれていて、何度読んでも読み応えのある作品。月人と澪斗は本当に魅力的な二人でした。久世、花菱や近衛も良かった。キャラも際立っていて、面白い作品。オススメします!
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