世界でいちばん遠い恋
」のレビュー

世界でいちばん遠い恋

麻生ミツ晃

2人の感覚を共有して読みたい

2024年10月29日
一巻読了。初読の時はさあっと読んでしまい、あまり刺さらなかったのですが、久しぶりに読み直したら全く印象が変わりました。静かにゆっくりと二つの心が近づき通い合い始める、すごく繊細なお話で、それこそ読み手の私たちが2人の聴覚以外の感覚を共有するように読んでゆく必要があるようです。聴こえないから近くにいる、手で触れる、唇をじっとみる、するとドキドキする恋の始まりのような感情が生まれるのが迫るように伝わってきます。一番好きだったのはパーティーで倒れた五十鈴を十嘉くんが背負って連れて帰ってくれるところ。似たような場面はBLにはよくある気がしますが、とりわけ五十鈴にとって十嘉くんが特別で頼りにできる人になるのが、体の重みを任せる感覚の中に感じられました。こんなに大切に読ませる作品を描く先生、本当にすごい。二巻も楽しみです!
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